MENU

BeRealの「クイックリアクション」と令和の好意の伝え方


目次

⚡が届いた夜のこと

マナ、25歳は、職場で気になっている人がいた。年上で、いつも少し飄々としていて、距離感がつかめないタイプ。LINEの返信は早いけど、絵文字ゼロ。(好きなのか嫌いなのか、マジでわからん)って毎日思ってたらしい。

ある夜、BeRealの通知が来た。 撮って、投稿して、特に何も期待せずアプリを閉じた。

10分後。

スマホを開いたら、⚡マークがついていた。

送ってきたのは、その人だった。

(え、待って。これ今撮ったやつだよね?)

冷静を装いながら、マナの指は止まっていた。画面を凝視したまま、1分くらい動けなかった、と言っていた。 雷リアクションはリアルタイム撮影しか使えない。 つまり彼は、マナの投稿を見た「その瞬間」に、カメラを向けた。

偶然じゃない。 意識しないと、あんなこと、しない。


「⚡」が特別である、構造的な理由

BeRealのリアクションには大きく2種類ある。

ひとつは「カスタムRealMoji」——あらかじめ撮影して登録しておく、自分の表情スタンプ。 もうひとつが「クイックRealMoji」、つまり⚡。こちらは事前登録が使えない。その場で撮った写真しか送れない。

ここが、全然違う。

カスタムは”ストック”だ。いつ誰の投稿にでも使える。消費される感情表現。 でも雷は、”生もの”。あなたの投稿を見たその瞬間の、その人の顔。それしか送れない仕様になっている。

令和のSNSは、ほとんどのものが「保存して、加工して、タイミングを選んで出す」文化に最適化されている。 既読をつけずに文章を考える時間も、いいねする前に相手のプロフィールを確認する間も、全部そういう話だ。

でも⚡だけは、そのバッファを壊す。

(考える暇、なかったんでしょ)って、受け取った側は思う。だから刺さる。


これは、恋愛の文脈で言うと「衝動の可視化」に近い。

好意って、普通は隠れている。 LINEの返信を30分遅らせたり、投稿に「いいね」するかどうか5回悩んだり——私たちは日頃から、感情の管理に莫大なエネルギーを使っている。見せすぎたら負け、みたいな空気が確かにある。

なのに⚡は、その管理を一瞬だけ、すり抜けてしまう。

「見た瞬間に反応した」という事実が、ただそこに残る。

消せない。説明もできない。ただ、届く。


マナはその後、その人に何も言えなかったらしい。 「雷きたね」って送ることもできず、ただ次の日の職場でいつもより少し彼の顔を見ていた。

(あの⚡は、何だったんだろう)って今でも時々考える、と。

でも正直に言うと、意味がわからないからこそ、ずっと残ってるんだと思う。

言語化されたら、終わる。 雷が落ちた瞬間のことは、言葉にならないまま胸に沈んでいく。


あなたは、誰かに⚡を送ったことがある?

それとも、待っている側?

どちらにしても——スマホを持つ手が、ちょっと震えるくらいの話って、やっぱり悪くない。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

SNSにあふれる恋バナは、ただの雑談じゃない。
既読無視に揺れる夜も、マッチングアプリの違和感も、匂わせ投稿も――そこには令和の恋愛のリアルが滲んでいる。

このブログでは、XやInstagram、Threadsに流れる何気ない恋のつぶやきを手がかりに、今の恋愛を静かに解剖する。

正解は出さない。
ただ、なぜ私たちはこんなにも不安になり、比べ、試し、探り合うのかを考える。

SNSの恋バナから、令和の恋愛を読み解く場所。

コメント

コメントする

目次