引き笑いが気持ち悪いと言われた人へ。直す9割が逆効果

飲み会で、本気で笑ってしまった。
その瞬間、誰かが言った。「その笑い方、なんかキモい」
場は笑いに包まれた。私も笑った。(笑うしかないでしょ、あの空気で)
それ以来、口を押さえるようになった。笑いそうになると、息を止める癖がついた。
世間の答えは決まってる。直しましょう、練習しましょう、上品な笑い方を身につけましょう、と。
私は思うんだ。直そうとした人から、笑い方が不自然になっていくんだよ。

目次

直そうとするほど、気持ち悪くなる仕組み

抑えた笑いは、我慢の形として出てくる

引き笑いが出ないように、息を吸う音を消そうとする。
何が起きるか。笑いの途中で不自然な間ができる。声が途切れる。表情が固まる。
自然に出ていた音を消した結果、笑い全体が加工されたものになる。
不自然さって、音そのものより目立つんだよ。人は、加工された表情に敏感なので。
つまり直す努力が、新しい違和感を生んでる。

笑うのが怖くなると、表情全体が死ぬ

一番の問題はここ。
笑い方を指摘された人は、そのうち笑うこと自体を警戒するようになる。
面白い話を聞いても、まず自分の反応を監視する。今、変な音が出てないか。口は押さえたか。
その間、会話に集中していない。相手の話を聞いていない。
そして相手はそれを感じ取る。この人、あんまり楽しそうじゃないな、と。
笑い方を直そうとして、楽しんでいない人になる。これが一番の損失です。

逆の一手、消すんじゃなく、先に自分で名前をつける

やることは、隠すことでも直すことでもない。
自分から、一度だけ言葉にしておくこと。
「私、笑うとめっちゃ変な音出るから。びっくりしないでね」
笑う前に、自分で申告する。
なぜこれが効くか。人が不快に感じるのは、音そのものより、予期しない音だから。
予告された特徴は、驚きにならない。そして、本人が自覚して笑っているものを、他人は指摘しにくいので。
弱点は、隠した瞬間に弱点になる。自分で出したものは、ただの特徴で終わる。

覚悟すべきリスク

自虐に転ぶと、相手にフォローという作業を要求することになる。
気持ち悪いよね、変だよね、とは言わない。
変な音が出る、で止める。評価を自分でつけないのがポイント。

言われた言葉を、事実として採用しない

あの一言が、なぜ何年も残るのか

一回言われただけなのに、何年も覚えてる。
理由は、笑い方が自分では制御しにくい部分だから。
服装や髪型なら変えられる。でも笑いは、感情が動いた瞬間に勝手に出る。
制御できないものを否定されると、存在そのものを否定された感覚になるんだよ。だから深く刺さる。
その痛みは、大げさじゃない。

言った側は、三日で忘れてる

残酷だけど、これも事実。
飲み会でその場のノリで言った言葉を、言った人は覚えてない。
あなたが五年抱えているものを、相手は翌週には忘れてる。
つまりあなたは、もう存在していない他人の一言を、自分の中で毎日再生し続けてる。
それを続けるかどうかは、あなたが決められる部分でしょ。

逆の一手、その言葉を言った人を、思い出す

誰に言われたかを、正確に思い出してほしい。
そして考える。その人は、あなたが尊敬している人だった?
たいていの場合、そうじゃない。飲み会でその場の笑いを取ろうとした人か、あまり親しくない人か。
尊敬していない人の評価を、なぜ採用しているのか。ここに気づくと、少し軽くなる。
評価は、誰から来たかで重さを変えていい。全部を等しく受け取る必要はないので。

私が三年、笑わないようにしていた話

大学の飲み会で言われた一言

私も同じことを言われたことがある。二十歳くらいの時。
本気で笑った時に出る、あの吸い込む音。
「え、今の何の音?」
場が一瞬止まって、それから笑いになった。誰も悪気はなかったと思う。
でも私は、その日から笑い方を変えた。

笑わない人になった三年間

口を押さえる。声を出さずに笑う。面白い時ほど、体を固める。
これを三年続けた。
そしたら、別のことを言われるようになった。
「なんか、あんまり楽しくなさそうだよね」
(え、あんたたちが笑い方を封じたんだけど)
そう思ったけど、言えなかった。
気持ち悪い笑い方を直した結果、つまらない人になってた。交換条件として、明らかに損してる。

戻した日に、何も起きなかった

社会人になって、心を許せる友達ができた。
その子の前で、久しぶりに我慢せず笑った。あの音が出た。
身構えた。(あ、やば)
彼女は、一瞬止まって、それから笑った。
「今の何?めっちゃ面白いんだけど」
それだけだった。気持ち悪いとは言われなかった。
同じ音でも、受け取る人によって全然違うんだと、その時初めて知った。
三年間、私は一人の他人の反応を、全人類の反応だと思い込んでた。

笑い方を、関係の判定に使う

誰の前で出るか、を観察してみる

面白いことに、引き笑いは緊張している相手の前では出にくい。
気を許した相手の前でだけ出る、という人が多い。
つまりあの音は、あなたが安心している証拠なんだよ。
本気で笑っている状態は、演技では作れないので。

逆の一手、指摘してきた相手のほうを、判定材料にする

本気で笑っている人に、気持ち悪いと言う。
その言葉が出る人が、どういう人かを考えてほしい。
親しい相手の無防備な瞬間を、笑いの材料に使う人です。
一度そうする人は、他の場面でも同じことをする。すっぴん、失敗、感情的になった時。
笑い方の指摘は、実はその人の扱い方が見える試験紙になってる。
直すべきかを悩む前に、その人と近くにいるべきかを一度だけ考えてみてほしい。

恋愛の場面では、もっとはっきり出る

好きな人の前で笑えない状態は、しんどい。
そして、あなたが笑い方を隠している限り、相手も無防備を見せられない。人は、相手の開示レベルに自分を合わせるので。
完璧な自分を維持するほど、相手も完璧を演じ続ける。両方が疲れる関係になる。

どうしても抑えたい場面がある場合

全部の場面で自然体でいろ、とは言わない

仕事の会議、初対面の場、堅い席。
そういう場面で音量を落としたいのは、当然だと思う。
そこは技術の話として、短く書く。

息を止めずに、吐く方向に変える

引き笑いは、笑いながら息を吸うことで起きる。
だから、止めようとすると余計に苦しくなって、大きな音になる。
やるなら、笑い始めに一度だけ、ゆっくり息を吐く。
それと、口を閉じないこと。閉じると鼻から抜けて、音が強調される。
完全には消えない。ただ、少しは変わる。

ただし、練習を日常に持ち込まない

これを常に意識していると、結局は笑いを監視する生活に戻る。
使うのは、本当に必要な場面だけ。プライベートでは使わない。

体に関わる話として、一つだけ

笑うと息が苦しい、咳き込む場合

音の問題じゃなく、笑うと息が続かない、強く咳き込む、呼吸がしにくい。
これが頻繁にあるなら、笑い方の癖の話ではないかもしれない。
気道や呼吸に関わることなので、気になるなら一度、内科か呼吸器科で相談してほしい。

気持ち悪いと言われても、笑い方は変えなくていい

失うもののほうが、明らかに大きい

あの音を消した三年で、私が失ったのは音じゃなかった。
心から笑う時間だった。
面白い話を聞いた瞬間に、自分の音を監視する。あの状態は、その場にいないのと同じなので。

今日変えるのは、ひとつだけ

次に笑いそうになった時、口を押さえない。
そして、気を許せる相手にだけ、先に言っておく。私、笑うと変な音出るからね、と。
9割は今日も、笑いそうになるたびに息を止めて、その場を乗り切ってる。
その中で一人だけ、そのまま笑った人の隣で、相手も初めて力を抜く。

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